雑誌企画「Sequence -- 旅と音」
以前参加していた読書会のイベント「雑誌の企画を考える」に参加しました。
私は以前からの自分の研究テーマ「旅と音」に取り組み、
雑誌名、コンセプト、初回の企画を考えました。
今回の特集内容は「旅と音」です。
『STUDIO VOICE』とか実験音楽、jazz、classic、音そのものが好きな人に読んで欲しいです。
consept
Sequenceは生物学におけるシーケンスからきています。
タグラインは「Personal Sequence」。
意味は「パーソナルな視点で世界を読み取る」です。
性別、世代、国籍、人種、ジャンルなどにとらわれることなく、複雑に様々な考えが横断する世界において単一の要素を選ぶことができないような瞬間に、パーソナルな視点から世界を読み取る人々の観察眼を取り上げます。また編集制作にも様々な専門家の方に加わってもらいます。
現代を創造的にタフに生き抜きたいと願う、すべての方々に向けてお届けします。
「Alternative」かつ「Ethical」な選択肢を提供できたら。
※ Sequence=DNAの塩. 基配列を調べるための分析法。 転写・翻訳 によって作られるメッセンジャーを読み取り、RNAの情報からタンパク質を作ります。
雑誌の仕様
対象:
雑誌全体の対象年齢や性別はありません。全体主義的なものの見方をラディカルに問い直したいと感じている人。かつ特集内容に興味がある人。
発行サイクル:
年1回(面白いネタが集まれば増える)
判型:
B4変形。糸を使った中綴じが理想
ページ数:
160-180ページ
紙の種類:
柔らかな手触りのある紙。長く持たなくてもいいので、あまり強くない紙を選びたい。微塗工紙:OKピクシード、微塗工中質紙:モンテシオン、中質紙:フロンティアタフなどがイメージ。
置き場所:
美容室 / 病院 / ホテル・宿 / 本屋 / メガネ屋
今号の特集テーマ:
旅と音
次回以降の特集テーマ(案だしレベル):
- 病むこと
- 測ること
- 遊びの部屋
- 建築解体
- 本
今号の特集
旅 と 音
「旅と音」について
1970年代、フランス革命の16年前、一人の貴族が音楽を求めてヨーロッパ中を旅した。その旅の記録をまとめたのが、 『チャールズバーニーの音楽見聞録』 だ。
音楽家を訪ねたり、訪れた土地の音楽会で聴いた音や、出会った人々との出来事を書き連ねている。
まだ世界がつながっていない頃、音楽は限られた人のものであり、文献もあまりなかった時代。音楽が注目されていないと感じたチャールズバーニーが世界の音楽を求めて旅を始めた。
いまや音楽は芸術に近いものとして受け取られ、音質の良いコンサートホールでの音楽提供が当たり前となった。だが人々に認められる前の野良の音=ノイズ音楽とはどのようなものか。
集まることが困難となったパンデミック2021。日常に潜む野良の音を求めて旅をするとどのような音に出会えるのだろう。
ノイズ音楽家たちは、ポピュラーな音楽から影響を受けるのではなく、日常に潜む音に耳を傾けて音楽を作っている。音を掘り下げていくと必然的にノイズ音楽にたどりつく。
目次:
- 旅と音とは(1P)
- 『チャールズバーニーの音楽見聞録』とはどんな本なのか(1p)
- 世界中から探した音楽会(4P)
- ダムでライヴするとしたら? Ryoji Ikedaと田中克のダム考察(16P)
- 松本一哉のノイズ音楽の楽しみ方(6P)
- 廃屋や川、電車、マンホールの中でライヴをしてきた
山川冬樹によるノイズ哲学(6p) - 金沢健一の日常の振動(2P)
- 藤田陽介の日常の振動(2P)
- Lucy Railtonの日常の振動(2P)
- Stephen O'Malleyの日常の振動(2P)
- 世界のローカルノイズ(10P)
- pickup台湾ローカルノイズ(2P)
- アーティストが作る自作楽器!(3P)
- アーティストインタビュー(6名 ✕ 2P)
- 音楽を2倍楽しむためのファッション考察(2P)
- 突撃!! 都内の建築物音響(4P)
- アンビエント・ミュージック現象を考える(3P)
- 世界のノイズ・アンビエント・実験音楽レーベル、レコ屋図録(16P)
- 音楽を2倍楽しむためのファッショングラビア(8P)
- ノイズ・アンビエント・実験音楽関連の書籍(2P)
連載:
- 今月の温泉(2p)
- 今月のお昼(4P)
目次詳細
1. 旅と音とは_1p
2. 『チャールズバーニーの音楽見聞録』とはどんな本なのか_1p
3. 世界中から探した音楽会_4p
音楽は大事にされるものと認められている日本。ホール等のかしこまった場所での音楽会は普通になった。世界では音楽を特別扱いしないこと、音そのものをより楽しめる場所で音楽を発表することがある。より音の根源を楽しめる場所とは。今まで開催されてきたライヴをざっと紹介する。
場所(写真はアーティストに提供してもらう):
扉的な意味が大きいので、ここは写真メインで。
- 洞窟
- ダム
- マンホール
- 沖縄の基地
- 廃工場(鉄材などそのままで、ホコリかぶったままのライヴ)
- クジラの鳴き声が聴ける場所
- 日本の廃屋
- ヨーロッパの廃屋
- 電車の中
- 廃校
- 原っぱ(国によって認められていない特定の音楽は、原っぱやアパートの小さな部屋で開催される)
- 川
- 夜の砂浜(子供の声と波の音をかけあわせたライヴ)
- タスマニアの Dark Mofo
※ Dark Mofo:コンピューターサイエンスで儲けた(一部ではギャンブルで儲けたとも言われている)デヴィッド・ウォルシュが私財を投入して作った世界最大級のプライベートミュージアムが行う冬のイベント。
4. ダムでライヴするとしたら? Ryoji Ikedaと田中克のダム考察_16p
内訳:
- Ryoji Ikedaとダム音響研究家の田中克で日本のダムをいくつか回って、ダムでのノイズ音を音、物理、数学などの面から考察(6P)
- 田中克によるダム音響の研究についてのまとめ(4P)
- 世界の辺境と言われる場所での音楽会について二人の対談(6P)
Ryoji Ikeda: 池田 亮司 は、フランス・パリで活動する日本の電子音楽、実験音楽のミュージシャン、現代美術作家。
田中克:ダム音響研究家。 論文:「絶滅種の側(がわ)から」 。以前、音楽家・打楽器奏者の 松本一哉 とダムで録音したことがある。
5. 松本一哉のノイズ音楽の楽しみ方_6p
山などの自然環境で見つけた廃材を元に楽器を作っている音楽家・打楽器奏者の 松本一哉 。日本中を旅しながら、環境音との即興ライヴや一発録音を主としている松本ならではの音の楽しみ方を探る。
※ 松本一哉はフィールドレコーディングをした音源に後で楽器の音を足して制作するようなフィールド音楽ではなく、偶然に起こる環境音との即興によるドキュメンタルな音源制作をしている。
6. 廃屋や川、電車、マンホールの中でライヴをしてきた山川冬樹によるノイズ哲学_6p
アーティストの中でも特別丁寧でまじめな印象の山川冬樹だが、ライブはタイトルの通りぶっとんでいる。 山手線の中で、骨伝導と電車の鉄の擦れる音をまじえたゲリラライヴ(乗客は気づかない) 、こがらしの音と日本の廃屋、 『LIVE(生きる/ライヴ)』をテーマとした、70時間連続ライヴ 、 東京港海上での"DOMBRA"
山川冬樹:アーティスト。音楽、美術、舞台芸術の分野で活動。身体内部で起きている微細な活動や物理的現象をテクノロジーによって拡張、表出したパフォーマンスを得意とし、国際的に公演を行う。歌い手として2003年「第2回日本ホーメイコンテスト」グランプリと観客賞をダブル受賞。また声についての連載エッセイを「未来」で2007年より2年間執筆。2014年舞台「金閣寺」に出演など多方面で活躍。2015年横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞。
7. 金沢健一 の日常の振動_2p
そろばんやガムテープ、振動の物理現象など視覚、聴覚、触覚を結びつける作品を制作をしている金沢健一。私達が日常的に使っている道具は金沢健一の眼にはどのように(どのような楽器に)見えているのだろうか。数点ピックアップして掘り下げる。
8. 藤田陽介 の日常の振動_2p
自作パイプオルガン、声、水(水槽)などを用いたソロ・パフォーマンスを主軸に、サウンド・インスタレーションや映画音楽、ダンス作品の音楽など多岐に活動する藤田陽介。聴いたことのない音を聴きたいという興味(欲求)に従って、あらゆる現象/メディア/状況を取り込みながら音楽を探求している藤田には、私達が日常的に使っている道具はどのように(どのような楽器に)見えているのだろうか。数点ピックアップして掘り下げる。
9. Lucy Railton の日常の振動_2p
ロックダウン下のベルリンの印象を描いた崇高なサウンド・ドキュメントとして出したサウンド『S-Bahn(LUCY RAILTON)』はプレンツラウアー・ベルクの自宅アパートの前でS-Bahn(ドイツの鉄道列車)とデュエットしている。私達が日常的に使っている道具や景観はどのように(どのような楽器に)見えているのだろうか。数点ピックアップして掘り下げる。
10. Stephen O'Malley の日常の振動_2p
SUNN O)))のメンバーであり、Editions Mego傘下のIdeologic OrganのディレクターでもあるStephen O'Malley。原点とも言えるのは、漆黒爆音ドローン。戦闘機、工事現場、洗濯機などの騒音はO'Malleyにとってどのような楽器に見え、どのように聴こえてているのだろうか。数点ピックアップして掘り下げる。
11. 世界のローカルノイズ_10p
世界中でノイズやアンビエント、実験ライヴが行われた場所とライヴ内容をその場所だからこその音と雰囲気を含めて紹介。(扉で紹介している写真の具体的内容を掲載する)
12. pickup台湾ローカルノイズ_2p
11 にプラスで、台湾のアーティストを紹介。
台湾ではノイズがまだ世間的に認められていないため、地下や小さな部屋でライヴが行われている。世間的認知が低いからこその、守られていない野良の音の良さがあるので伝えたい。
音楽がアングラとして扱われ、あまり人が介入して来なかった国については、音楽を通しての異議申し建てが潜んでいる場合があるので、ライターおすすめの国の事例があれば紹介したい。
台湾のアーティスト:
台北を拠点に活動するアーティスト、実験音楽プロデューサー兼ライブパフォーマー。東南アジア/東アジア、中国、ヨーロッパで、過去数年間に20か国以上をツアー。ノイズ、クラブ、奇妙な音、時には儀式的なパフォーマンスを想起させるフィールドレコーディングの概念的なアイデアと、台湾自身の精神的な風景にまでさかのぼるソースが組み合わされています。
狭い部屋でライヴを行っている。蜘蛛が出る部屋で行われている場合も。音楽に合わせて? 蜘蛛が動く姿がinstaに上げられていた。
13. アーティストが作る自作楽器!_3p
14. アーティストインタビュー_6名 ✕ 2p
インタビュー内容:
それぞれの質問に対する回答の理由や捉え方を深く訊く。
- 過去から現在までで、どんなノイズが印象に残っていますか?
- 今向かっている興味についても教えてください。
- 音楽好きとはどういう人をいう?
- ノイズやアンビエントをとりまく現代の事情をどう捉えている?
- 土地によって違うと思うので、印象に残っている土地とノイズやアンビエントの相性についても教えてください。
- ノイズが愉しくなるオルタナ都市or街とは?
アーティスト(インタビュイー):
- 世界的に支持される日本のアンビエント・アーティスト Asuna
- 鬼才Lawrence English主宰の音響系名門〈Room40〉にも作品を残すニューヨークの女性即興演奏家 Marina Rosenfeld
- 叙情的なノイズに唖然とさせられるインダストリアル・オペラ Roly Porter
- アンビエント、エクスペリメンタル・プロデューサー PAUL JEBANASAM
台湾からも一人欲しい。アジアからもう一人欲しい。上記アーティストに固めず、質問に適したアーティストや評論家、キュレーターをコントリビューターにも紹介してもらう。
15. 音楽を2倍楽しむためのファッション考察_2p
環世界研究家とファッションデザイナーで考える、音楽を身体的に楽しむための音圧ファッションを考える。蛇は音が聞こえないが皮膚で音を感じる。魚は背骨とエラ。植物のマクルグラビア属の花は超音波を反射してオオコウモリに見つけて貰いやすくする。そうした人間以外の生物の音の機能や感じ方もヒントにする。
16. 突撃!! 都内建築物音響_4p
建築家と音響家、イラストレータ(記録係)で巡る。
建築家はホールの設計者か、路上観察研究や都市を人間以外の視点でも観察している建築家の 藤森照信 が良い。
オーナーとの交渉の結果OKだった建築物は施工図面に、音に関して工夫されている部分、建築家と音響化の考察を書き込んだ図面をコンビニのコピー機から出力できるようにする。
「わざわざコンビニで図面プリント」というのが良い。
出力して施設を訪れて欲しい。わざわざ出力までして訪れる人は建築や音楽が本当に好きな人なので、同じ人を見つけた読者は嬉しくなるはず!
17. アンビエント・ミュージック現象を考える_3p
- アンビエントが好きという有名人をリサーチ。「リラックスするための音楽」をよく聴くという起業家の音楽体験を探る。少し皮肉る。(2P)
- 自分が好きなアンビエント・ミュージックを見つけて聴く音楽好き(リラックスするための音楽は聴かない)な人の考察。(1P)
18. 世界のノイズ・アンビエント・実験音楽レーベル、レコ屋図録_16p
19. 音楽を2倍楽しむためのファッショングラビア_8p
撮影場所は家、ライヴ会場、原っぱ、騒音など音がある場所。
- 家でのシーンはインテリアとして、誰でも簡単につくれるかっこいいライティングを伝授。たとえば、こちらのようなユニークな形のライティング で家用に点滅がゆるやかなものを応用して作れるように伝授する。(2p)
20. ノイズ・アンビエント・実験音楽関連の書籍_2p
連 載
今月の温泉(2p)
旅するアーティストに温泉を紹介してもらう。日本各地をライヴで巡りながら、日本中の温泉巡りをしている松本一哉に依頼。旅の思い出として、ライブの話、入浴中に考えていたことなどを書いてもらう。
松本のインスタには 訪れた温泉の写真 が多く上げられている。
旅におすすめの音楽も掲載。Sptify APPに連携。
今月のお昼(4P)
料理人に自分で作ったお昼ごはんを自分の店で食べてもらう。
そして料理や食材に対する独自の視点を語ってもらう。
出来たときのにおい、塩の種類による変化、一回目の咀嚼音と2回目の咀嚼音に変化をつけて食べる時の驚きを演出していること。2分44秒のゆで卵がベスト。スーパーで人気なく端っこで鎮座していた食材の演出、味の分類など。作る人だけが知っている科学的な面白い部分や工夫を書いてもらう。
さまざまな料理教室に通った結果、食材に対する偏愛を持つ人が多くいた。わたしは料理関係の仕事もしていたが、人命よりも食材を育てるための土と水が大事といった人も多くいた。豆料理しか作らない/出さない料理人もいた。そうした料理人たちの偏愛ダダ漏れの連載にしたい。海外に食材の勉強の旅に行く人も多いので、ときどき同行させてもらいたい。
Contributor候補 特集「旅と音」の目次詳細に記載した人以外
編集ライター:
- 『ele-king』や『デンシノオト』などで執筆している 三田格
- 『ele-king』や『デンシノオト』などで執筆している 野田努
- 元レコ屋で少し癖のあるアンビエントに詳しい 綾門優季
- 電子音楽家であり医者でもある 伊達伯欣
- 世界各地のダンスミュージックや祭り文化を追いかける 大石始
- 『デンシノオト』で執筆し、多くのノイズ音楽を聴くブロガー デンシノオト
- STUDIOVOICEの執筆陣
- 音楽を中心にしながら、文学、映画など他分野と音とのかかわりを探る批評を展開する 小沼純一
キュレーター、録音技師、サウンドデザイナー:
特集 photo:
ざらっとした感触の写真が良いので、STUDIOVOICE 陣が近い。(とはいえ安易にトーンを決めず、見せ方を探りたい)
洞窟での撮影など場合によってはアーティスティックなフォトグラファーも良い。
次号以降でやりたい特集テーマ詳細(案だしレベル)
- 遊びの部屋
音楽が好きな人は自分でライティングを考えて部屋を作る。アートが好きな人はすごく使いにくいけれど、建築家顔負けのかっこいい家具を作る。タスマニアの Dark Moho はコンピューターサイエンスでバカ儲けした個人の趣味から始まったイベントだ。世のため、人のため始まりではなく、自分個人のために作られた空間がかっこいい理由と(洗練された人からは悪趣味に映るかもしれないが)、どのように探求され作られているのかを探りたい。
- 建築解体
建築家の思想がつまった建築を解体、再建する場所に出向いて取材する。
設計図を元にどういう思想のもとその素材が使われ、工夫されていたのかを解体現場や再建現場から探る。
- 本
モノそのものを探求するには、どの順序で本を読むと良いのか。
専門家とか信頼できる大学院OB生に、非専門家や別領域の専門家に本の紹介をしてもらう。
專門・非専門関わらず、読書会ではどの順序で読んだから詰んだという話をよく聞く。
專門を学ぶときはコミュニティに入るのが手っ取り早いと思うが、大学院入学レベルまでの専門性を(なるべく詰まずに)つけるには、どの順序で土台を築くのがいいか。本の順番のセレクトをしてもらう。
また何の本を紹介するかというよりも、「どう読んだか」に焦点をあてる特集も入れたい。何を知りたくて読んだか。読んでいる間に見つけた疑問が、どう解決していったかなど、その人だけの視点や読み方がわかるようなものにする。
他にも、食、服、公園、(何かにハマっている人の)部屋の特集がしたい。
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プログラミング初学者が、参加していた読書会の課題「読後のアウトプットの質が高まらない」という課題を解決するためにアプリを作成しました。企画から実装まで、アプリを作る上で考えたことを書いています。
よければご覧ください。